居住支援法人としての責務と NPO 法人としてのプライド

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居住支援法人としての責務と NPO 法人としてのプライド

NPO 法人 WAC 清水さわやかサービス
鈴木久義

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本法人は、本年 6 月 18 日に静岡県より居住支援法人として指定を受け、ここから新たな 1 ページがスタートしました。正直な話、最初はどこから手をつけようかと悩みました。しかし、悩んでいても何も始まらない・・・まずは動くことだ!と自己を奮い立たせ関係者先を立ち回ってみようと行動を開始しました。まずは片手間でやっているわけではない証明する必要を感じ、名刺に大きく「静岡県指定居住支援法人」と入れました。

そして居住支援法人指定書の控え、法人のパンフを持って静岡県宅建協会へ挨拶に行きました。事務局長様が対応して下さり協会員に当法人が居住支援法人を開始したことを周知するとのお話をいただきました。その足で地元で長くやっていると思われる不動産屋を飛び込み訪問したところ大ベテランの社長がお話を聞いて下さり暫しの沈黙の後「何の利益にもならないようなことを NPO 法人ってのはやるのかね。」とポツリとつぶやきました。私はこの言葉を待っていました。「 NPO 法人だから出来るんです。小回りも利くし地域に必要とされてなんぼっていうのが私達の法人です。地域に求められればやります。」と勢いで言ってしまいました。社長は笑いながら「最初厳しいことを言ったのはあなたにその覚悟があるか見たかったからなんだよ。不動産屋は人を見ます。いい加減な業者は門前払いします。失礼なことをしてしまい申し訳ない。」と。

続けて社長は「この居住支援団体制度はこれから必要だと不動産業界では元々言っていたんだよ。あなたたちのような団体が出てきてくれることを待っていた。一緒に頑張っていきましょう。」と話されたあとに各不動産屋が一冊しか持っていない静岡県宅建協会の会員 名簿を机の上に置き「これを差し上げます。賃貸をやっている不動産屋とこれからあなたたちに力を貸してくれると思う不動産屋をチェックしておきます。」と本当にありがたい物とお言葉をいただいたのです。協力していただける不動産屋を得たことで一気にやる気が加速しました。

国交省の補助事業が決定したことを受け居住支援法人のチラシを全戸配布。そのチラシと独自で作った居住支援依頼書を持って市役所・社協・地域包括支援センターや居宅介護支援事業所を始めとする介護施設へ赴き事業の開始を広報すると共に片っ端から不動産屋を開拓していきました。大手の仲介業者はまず頼りになりません。当たり前ですが利益のみ重視です。

個人で不動産業を営んでいる方は地域密着しており大家の信頼度も高く頑固な方も多いのですが腹を割って話し合うと表に出ていない情報もいただけます。大家との値引き交渉もしてくれます。不動産業者とお話をする際は
・当法人の紹介(パンフを見せながら)
・市民協という組織に加盟していて全国に仲間がいる旨の説明(信頼度が上がるので)
・たすけあい活動をして来たうえでの居住支援法人であること
を一通り話したところで、
「地域の空き物件を埋めたいのです。NPO 法人が得意とする対面の見守りも請け負うことができます。」
と申し上げると必ず対面の見守りの話に飛びついてきます。それは事故物件リスクを減らしたい不動産屋からみたら当然の事です。「ワックさんの見守りがあったら入居可能」等のオプションメニューを検討させていただきたいとのお話も 2 業者よりいただいております。このボランティア事業に対し寄付をしたいという不動産業者も出てきました。初めのころは上から目線だった不動産業者もおりましたが、この 2 カ月の間に毎週訪問し、たわいもない世間話をしていたところ自然とフレンドリーになっていき今では不動産業者側から面会を求めてくることもあります。

今、当法人の事務所にはウワサがウワサを呼びチラシを持った方が突然訪問してきたり、障害者支援団体からも連絡が入るようになりました。他区の方からも相談を受けることもあります。行政や社協を信用できないと言いながら居住支援を依頼してくる方もおります。地域包括支援センターからも招待を受けケアマネ会議にて説明する時間をいただいたりもしています。

この経緯から居住支援法人制度は間違いなく必要とされるものと確信を持ちました。

そして、介護保険以外の業種とのお付き合いも始まりました。
これは他業種への知名度アップのチャンスの時であり、地域に必要とされる NPO 法人としてのジャンプアップの時でもあります。
静岡県居住支援協議会にも加入させていただきました。
居住支援を始めてからの 2 か月間での名刺交換も 100 枚を超えました。
静岡県住まいづくり課にも気を遣っていただいており良好な関係を保っています。
この事業がどんな発展をみせるかは未知数ですが法人にとってプラスになることだけは間違いありません。

居住支援は片手間にやっていたら交渉相手に簡単に見抜かれます。
交渉相手は何億のお金を回し、様々な人たちと出会っている不動産業者という強者です。居住支援法人として指定された以上は実績を作って地方公共団体から必要とされなければならないのです。国交省の補助がなくなった時、県や市から少しでも補助していただけるような策を今から考えなければなりません。

全てゼロからのスタートですが、ならば私達が先駆者です。
居住支援法人の仕組みと仕掛けを作るのが私達の責務だと思います。
困難事例が大好物な WAC 清水さわやかサービスはこれからも様々な問題に自ら突っ込んでいきたいと思います。
地域においてそれを解決できる最後の砦であると自負しています。
ちなみに低額所得者が入れる住居は現在約 10 件キープしています。
相談件数は 20 件を超え、住居確保まで結びついたのは 5 件
現在進行中は 5 件です。
地域に必要とされる NPO 法人としてのプライドが今、私達を動かしています。

以上


市民協事務局

市民協事務局

1943年京都市生まれ。NPO法人市民福祉団体協議会代表理事として、高齢者や子ども、NPOに関わる諸問題解決のため、社会的環境整備に精力的に取り組んでいる。とりわけ現在は、シニアによるNPO起業への支援、ネットワークづくり、NPOマネジメントのノウハウの普及に向けて、執筆や全国的な講演活動に活躍中。

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