日本のNPO界をリードしてこられた山岡義典さんから、
当団体委員会担当安立清史氏の『福祉社会学の思考』(弦書房、2024)
のご感想をいただきました。
うれしいかぎりです。山岡さんのご許可をえて、その一部をご紹介させいただきます。
安立清史さま
4月にご恵贈いただきながら、とても内容の深い論著を読み解くには及ばず、やっと一段落して一気に注記も全て確認しながら読み返し、研究の深みを少しずつ理解できるようになりました。以下は全くの私的な感想です。
本書は、よき時代に巡り合わせた1990年から30年間の研究人生の記録でもあり、これから向かうべき迷路の道標とも言える。
「福祉社会学」の立場に根を置き、第1部では諸思想・諸制度への概念に関する問いかけを行い、第Ⅱ部では歴史的な流れの中での非営利セクターの動きを理解し、第Ⅲ部では学問としての課題の提起あるいは問いかけを行っています。何れも同感し、納得するところが多い。
この30年間といえば、私にとってもフリーになって各地の様々な実践現場に触れ、新制度の必要性を実感し、その実現に身を投じ、辛うじてその実現を果たした時代であたる。そのような中で中間支援組織の立ち上げと運営で四苦八苦し、大学での教育や研究とも係り、様々な非営利組織の運営に関与してきた。いわば道なき道をキョロキョロと走り続けた時期であった。
そのような立場から、臨場感をもって一言一言を読むことができた。しかし私の読書量は引用文献の1割にも及ばず、そこをどこまで理解できたかは疑問である。とにかく時代の歩みと、その時々の意味を確認しながら見守ってこられたことに対して、深く敬意を表したい。
それはともあれ、これだけ内容の濃い著作を毎年1冊刊行してこられたエネルギーに敬意を表します。
山岡義典