介護保険法改正とNPOの役割(田中尚輝講演録)

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市民協主催 コーディネーター研修会の講演から

NPO法人市民福祉団体全国協議会 専務理事 田中尚輝

 

 

二〇一五年から介護保険制度が変わるということの意味と、市民活動、ボランティア活動がそれに対してどういう対応をしなければいけないのかということについて述べます。

 

改正介護保険法の原理

まず、今回の改正の意味は何でしょうか。まず、大前提として、人間は非常に忘れっぽいのですが、特に制度の節目節目を、行政側はあまり節目でないような見せ方をしたりするものですから、節目じゃないみたいに思ってきてる面があるのですが、大きな節目がいくつかあります。

日本の福祉は、行政が福祉サービスをするものでした。社会福祉協議会(社協)という民間団体がやってたじゃないかと思っている人もいます。社協は社会福祉法人であり、行政がやる通りのことしかやらないっていう約束事の上で、一部事業が委託されているだけであって、基本的に行政しかできなかったのです。なぜならば、一般市民は「下々」として位置付けられ、福祉とか人にサービスをするという立派なことをできる存在ではなかったのです。下々はは飯を食べ、遊び、人の悪口言ったり、時々人殺ししたりする存在との庶民であって、人に対して福祉のサービスするのは、「上々」しかないという時代が最近まであったのです。二〇〇〇年の三月末までです。

こうした「措置」の時代には、福祉のサービスするのはお役所に頼みに行って、そこで「処分」=決定されて、措置されるというのが最近までの状況でした。下々は福祉や介護をされる立場でして、二〇〇〇年四月一日の介護保険が始まってから、ようやく民間事業者であるとか、NPOがサービスをできる対象になったのです。それは、介護保険料を払うこととのバーターだったのです。それが、一五年間たち、大きく変わるのです。つまり、厚生省の文書でいいますと、「住民が住民をサービスする」ということに変えるのです。だから、介護保険事業者、国が認めた、行政側が認めた介護保険事業者がサービスをする介護保険事業から、軽度者に関していえば、「住民が住民を支える、助ける」方向へ大きく転換するのです。軽度者でない人々にはこれまで通りの制度が残ります。法律の施行は二〇一五年度からですが、三年間は猶予期間がありますが、基本的に法律の改正はこういうことです。

ということは「下々」から考えると、福祉や介護の「お客さん」=対象者だったのですが、サービスをする側、主体へ変わるっていうのが今回の法律の変わり方なんです。そこで、二つ見方があるのです。

一つの立場は、厚生労働省は介護保は料をとり、消費税も上げているのに、サービス全体を経済的、効率的にやるのはおかしいという立場があります。また、自分たちのやるべきことを国民の側へ押し付けてるんだから、けしからんではないか、ということです。他の一つは、客観状況、人口構成や財政状況を考えると、政権をどこの政党が取っても、そんなに大きな差が出てこないのではないか。

それで、日本の市民は「お客さん」であっていいのでしょうか、「主体」に切り替わるべく、この介護保険改正を活用するのかどうかがわれわれに問われているわけです。

 

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1943年京都市生まれ。NPO法人市民福祉団体協議会代表理事として、高齢者や子ども、NPOに関わる諸問題解決のため、社会的環境整備に精力的に取り組んでいる。とりわけ現在は、シニアによるNPO起業への支援、ネットワークづくり、NPOマネジメントのノウハウの普及に向けて、執筆や全国的な講演活動に活躍中。